「風の歌を聴け」 村上春樹 | Around the Corner

「風の歌を聴け」 村上春樹

この本、4冊買ってる。
最初は大学に入ったばかりのときに文庫本を、2冊目はそれから3年ほど経ったとき友人に貸してそのままあげてしまったので再び購入。
3冊目は近所の古本屋で単行本の初版が売っていたので衝動買い。
で、4冊目は最近、文庫本の表紙が単行本バージョンに変わったので、また買った。
ということで現在、3冊持ってる。


はじまりは映画だった。
高校生のとき、たぶん土曜日だったと思う。
野球のデーゲームが雨で中止になり、それの代替。
このあたりの記憶は曖昧。勘違いかもしれない。
監督は大森一樹。
キャストは「僕」が小林薫、「鼠」がヒカシューの巻上公一、「四本指の女」は真行寺君枝、「ジェイ」は坂田明。脇役には「DJ」が阿藤海、回想シーンの「三番目の女の子」が室井滋、他には古尾谷雅人なんかが出演してる。
世界観が気に入った。
流れている時間はとてもゆるやかだし、神戸という舞台も身近に感じられた。
そして、しばらくして小説を読んだ。


「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないのと同じようにね。」
(「風の歌を聴け」村上春樹 より)


冒頭から完璧にノックアウト。
完全にはまってしまった。
何度も読んだ。
文章の成り立ちや比喩のつかいかた、そんなレトリック的な読み方で分析もしてみた。
影響を受けたと指摘されているヴオネガット、ブローティガンやフィツジェラルド、カポーティなんかの小説を読みあさった。
ひとつのものから枝葉が分かれていって、広く、そして深く、刺激をもとめる。
当時はそんなことをしていた。
常に感性のアンテナを立てながらね。


この本を貸した友人から「鼠」に似てると言われたことがある。
どこが?
たぶん、ふらふらとしているように見えたんだろう。
それは今でもあまり変わらないかも。


著者: 村上 春樹
タイトル: 風の歌を聴け