Around the Corner -55ページ目

「シザーハンズ」 ティム・バートン

90年のアメリカ映画。原題は「EDWAR SCISSORHANDS」。主人公の名前そのまま。これは映画館で見た。91年の夏かな。


前年、ティム・バートンは「バットマン」をリメイクしてる。マイケル・キートンとジャック・ニコルソンが共演、プリンスが主題歌のやつね。ある意味、これ、ハリウッド資本をつかった究極のオタク映画。ただのアメコミ映画になってない。このあたりは「スパイダーマン」あたりと比較するとよく分かる。


「シザーハンズ」もその匂いがあちらこちらに漂ってる。ウィノナ・ライダーのブロンドの髪(これは地毛らしいけど)、カラフルな街の色、城の工場(発明家にビンセント・プライスはずるいな)・・・。細部にまで自分の美意識みたいなものが行き渡ってる。


この映画でティム・バートン好きになった。


と、あとはジョニー・デップの演技。ワケの分からない主人公を素晴らしく演じてる。この映画がファンタジーとして成立しているのはジョニー・デップの貢献が大きい。

だって、このストーリー、ひとつ間違えれば完全にB級以下の代物。都合が良すぎるし、住人の態度の豹変ぶりなんかはほとんどコントの世界だし。そういうベタベタなB級モノをやりたかったんだろうね、きっと。分かりやすい敵役がいて、自分で行動できない娘がいて、主人公は誤解されたまま・・・。はじまりと終わりの結び方も予定調和的だし・・・。


あっ、これ、ほめてるんだよ。


いろいろなところをひっくるめて、きれいな箱に入れて大切にしまっておこうかなって気分にさせられる切ない映画。ときどき出してきてはひとりでぎゅっと抱きしめたくなる、そんな映画だな。


好きだよ、これ。ものすごくね。


タイトル: シザーハンズ〈特別編〉
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ティム・バートン。「ビッグ・フィッシュ」もなかなか良かった。ただ、どうしてもユアン・マクレガーが未だに「トレインスポッティング」と「ベルベット・ゴールドマイン」の印象が抜けなくて・・・。
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印象が抜けなくて・・・ということで最もひどいのはゲイリー・オールドマン。「フィフス・エレメント」を見てたときも、こんなところで何てヘンな格好してるんだシド、と思ってしまった。「シド・アンド・ナンシー」のシド役の印象が全く抜けない。
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ジョニー・デップ。「ギルバート・グレイプ」あたりの演技も素晴らしいと思うけど個人的には「ブレイブ」を結構、評価してるんだけどな。あっ、「ネバーランド」、まだ見てない。「チャーリーとチョコレート工場」では久しぶりにティム・バートンの元でやるようで。

「ベティ・ブルー」 ジャン=ジャック・ベネックス

86年、フランス映画。原題は「37°2 LE MATIN」。「37.2度 朝」とでも訳せばいいのかな。女性が最も妊娠可能な体温、言い換えれば、あちらの世界へイッテるときの体温ね。


これ、そんなに昔の映画に思えない。いつ見てもとても新鮮だし。オールタイムベストの上位3つには必ず入る。この当時としては珍しく映画館で見てない映画。何でだろ?二本立てとかでやってくれる名画座みたいなところで月に何本も見てたんだけどね。たしか、自宅でひとりで見た。だから公開して1年ぐらい後だろう。見終わった後、大きなスクリーンで見ればよかったと悔しい気分になったこと、覚えてる。


これスタイリッシュな女性向けフランス映画のようなふりしてるけど、実は思いっきり男の子映画。ベティに共感する女の子いる?たしかにポスターや音楽はオシャレでかっこいいけどね。さすがにベティみたいになりたいという願望はやばいでしょ。原作も主人公は「ぼく」だし、体裁はほとんどビートニク。ジャン=ジャック・ベネックスの前作「ディーバ」といっしょで、男の子映画のひとつだと思ってる。


2つのヴァージョンがあって、最初に見たのはもちろん「ベティ・ブルー/愛と激情の日々」の方。こちらは完全にベティ演じるベアトリス・ダルの映画。こちらで2時間ぐらい。で、92年、上映もされたディレクターズ・カット版の「ベティ・ブルー インテグラル」の方が原作に近い。主人公であるゾルグについての逸話が多く入ってる。こちらは3時間ぐらい。


どちらが好き?


個人的には断然、最初の方だな。ベアトリス・ダルの演技(?)は最高。それを全面に押し出してる方が好み。映画としてもこちらの方がいいと思う。でも今、DVDではインテグラルの方しか見れないの?それはそれで残念。両方とも入れたDVDとかあればいいのに。


この映画、ラストシーンがいい。何よりもあのラスト。

何回も見ているのはあのラストがあるから。



タイトル: ベティ・ブルー インテグラル 完全版 (ノーカット完全版)

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「ベティ・ブルー」の文庫本はハヤカワから出てる。でも「ディーバ」は新潮文庫で絶版。両方ともすごく面白い。
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基本的に映画のサントラは買わないのだけど、これは買った。輸入盤の方。夜のドライブにはぴったり。時々、無性に聴きたくなるときがある。まあ、音を聴いているというよりは世界に浸ってるって感じかな。

「BLUE」 RCサクセション

81年、11月発売。
日本が生んだ最高のR&Rバンドだ。
「スローバラード」「雨上がりの夜空に」「トランジスタ・ラジオ」「ドカドカうるさいR&Rバンド」などなど数々の名曲あれど、アルバム単位で話をするとこれが1番。何より音がかっこいい。スタジオ録音ではこれが最高だと思う。


ロックン・ロール・ショー
Johnny Blue
多摩蘭坂
ガ・ガ・ガ・ガ・ガ
まぼろし
チャンスは今夜
よそ者
あの娘のレター


これは「なかよしスタジオ」に16チャンネルのレコーダーを持ち込んだんだよね。それがけっこう良くて太(ぶ)っとい音になった。
(月刊カドカワ3月号・1992年 より抜粋)


これ、本人自身による全作解説っていう特集。
その前の年に出した「PLEASE」についてはこんなふうに語ってる。


このアルバムはさ、曲はイイんだけど音が細くてサイテーなんだよな。
(月刊カドカワ3月号・1992年 より抜粋)


RCは、というより最高のR&Rバンドはすべて、生の方がかっこいい。どんなにスタジオ録音が素晴らしくてもやはり生の魅力には勝てない。RCもライブの方が断然かっこいい。たとえば「the TEARA OF a CLOWN」(86年発売)に収録されている「ヒッピーに捧ぐ」なんて何度聴いても涙が出てきそうになる。奇跡の演奏だ。これを会場で聴いた人が羨ましい。


フランジャーのかかったような音の重苦しいドラムにギターのリフが絡んできて・・・。チャボ、やっぱ、あんた、かっこいいよ。この曲、基本的にはコード2つだぜ、たったの2つ。そして、キヨシローの歌・・・。清志郎はR&Rそのものだよな。


だってさ これはロックン・ロール・ショー
ロック・ショー

(「ロックン・ロール・ショー」RCサクセション より)


アーティスト: RCサクセション
タイトル: BLUE

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月刊カドカワの資料、手元にある実物から参照した。物持ちいいねぇ。同じ号ではこんな特集も。「山川健一自身による山川健一スペシャル 本人による全作品&全アルバム解説・付」。
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上の文章では伝わりにくいと思うが、清志郎に対してはホントにミーハーなファン。手元にある本は「愛しあってるかい」(再販?)、「エリーゼのために」、「10年ゴム消し」(単行本)、「忌野旅目記」(文庫)、「GOTTA!忌野清志郎」、「遊びじゃないんだっ」、「日々の泡立ち~真説RCサクセション」、「生卵」なんかがある。

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もちろん、昔、バンドでやった。あんな感じの格好したよ。化粧もね。

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ミーハーついでに実は、唇の下にヒゲを生やしてる。これは現在。髪も最近切ったけど、そこそこ長い。自分では「生卵」の表紙みたいな感じだと思ってる。思ってる。思ってる。。。誰も言ってくれないけど。

「チャクラ」 チャクラ

歌姫が3人いる。
ヨーロッパの歌姫はビョーク、アジア(日本除く)の歌姫は王菲、そして日本の歌姫は小川美潮。
その小川美潮がデビューしたのがこのアルバム。
80年の夏休み。はじめて自分のお金で買った2枚のアルバムのもう1枚だ。


福の種
マヌカン
あこがれ
島の娘
東京スウィート:モーニング・トップス~オープン・スペース~グッド・ナイト東京
いっしょに
アイ・アム・ソーロー
空の友達


歌姫の基準は神秘性だ。うまい、へた、そんなことはどうでもいい。歌姫の範疇外。例えば「癒し」だとか、そういう言葉を当てはめることがおかしい。言葉を超越したところで表現しているのが歌姫。本人が自覚しているのかどうかは関係なくね。
美潮さんの声のイメージは日曜日の午前。ものすごく天気のいい日で、窓を開け放つと新しい空気が入ってきて、鳥の鳴き声が聞こえてきて・・・。そんなときに流すと声が空気に溶けていくような気がするんだ。実際、2枚目のソロ「4 to 3」なんかは日曜日によくかけていた。午前と言うよりは限りなく午後に近い午前だったけど。
「グランジャット島の日曜日の午後」。スーラの点描画、あのイメージだな。柔らかな光がそれぞれのものが元々もっている色彩を浮かび上がらせる。太陽の光が似合う歌姫。燦々と照りつける太陽ではなく、そう、緑まぶしい木漏れ日が似合う歌姫。そんなイメージだな。


チャクラで好きな曲は2曲目の「マヌカン」。シングルのB面だった曲。A面は「福の種」だった。今でも名曲だと思うんだけど。哀しいことに、あまり誰も言ってくれない。


アルバムも細野晴臣プロデュースの2枚目「さてこそ」の方が評価が高い。昔、大槻ケンヂもこちらの方を好きなアルバムとして取り上げていた。個人的にはこれも1枚目の方が好きなんだけどね。


アーティスト: チャクラ
タイトル: CHAKRA

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実はこのアルバム、テープで持ってる。小川美潮の公認サイトでも「実物は未確認」となってる。持ってますよ、まだお家に大切に置いてます!

小川美潮の公認サイト(http://www.mishio.com/
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CD再発。チャクラ(3枚)はすべて出た。小川美潮のソロ(4枚)もすべて出た。ついでにKilling Time(5枚)まで出た。

「WELCOME PLASTICS」 PLASTICS

はじめて自分のお金で買った2枚のアルバムの内の1枚。
たしか80年の夏休み。
曲目はこんな感じ。


TOP SECRET MAN
DIGITAL WATCH
COPY
I AM PLASTIC
I WANNA BE PLASTIC
CAN I HELP ME ?
TOO MUCH INFORMATION
WELCOME PLASTICS
I LOVE YOU OH NO !
ROBOT
DELICIOUS
LAST TRAIN TO CLARKSVILLE
DELUXE
COMPLEX


テクノのドラム音はこれだ!と完全に刷り込まれた。
思春期のimprintingだね。
全面に使われているのはRolandのリズムボックスCR-78。
最近になってROLANDのSC-88やImagelineのFL StudioなんかにCR-78のプリセットが入っていて、もうそれだけで感涙。
気がつくとそれを選んでる自分がいたりする。


当時の機材については「電子音楽in JAPAN」田中雄二(著)に詳しく書いてある。
プラスチックスの章もある。この本、テクノのバイブルだからね。


考えればメンバー無茶苦茶。
中西俊夫(イラストレーター)、佐藤チカ(スタイリスト)、立花ハジメ(グラフィックデザイナー)、島武実(作詞家)、佐久間正英(元・四人囃子)。
だからこそ、面白いものが生まれたんだろうね。
バンドというかチームというか、そういう人が集まって、何かをつくるときって、協調性とか和とかを重んじると小さくまとまってしまって面白くないんだよね。
たしかに小さくまとまってもOKなことも多いし、人と人の間に亀裂が入って結局は形にならないってこともあるだろうけど。
個々がぶっとんでいる方が規定外のものが生まれる可能性があるんじゃないかな。

やってる本人たちは大変だろうけど。


このアルバム、後になってCDで再購入。
今でもたまにクルマのなかで聴いてる。
1曲目からかっこいいんだよな。
うん、かっこいい。


アーティスト: プラスティックス, PLASTICS
タイトル: Welcome Back

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ちなみにこれは3枚目のアルバム。このドラムはTR-808。テクノ定番のリズムボックス。初めて聴くならこれか、1度だけの再結成を記念して出されたベスト盤「FOEVER PLASTICO」がお勧め。

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今年、デビュー25周年を記念して7月頃に何やら2つほど出る模様。1つはレア音源&映像満載のCD+DVD2枚組+100ページのブックレット。もう1つは全25曲のベスト盤(未発表曲入り)。PlasticSexのアルバムも出るみたいだしね。忙しいな。。。